終局耐力を超える力を分担している構造計算は成立しているか?

『官庁施設の総合耐震診断・改修基準』(H08.10.24建設省営計発第101号)によって耐震診断を行った場合、耐震改修設計は、診断に使用した一貫構造計算プログラムを用いて、既存構造物に耐力壁やブレース等を追加する形で行われる。

 

増設された耐力壁やブレースの構造計算は、SuperBuild/SS3などの建築用一貫構造計算プログラムでは計算範囲外で別途計算を必要としている。

 そこで、別途計算した増設壁の耐力を直接入力して計算しないと、一貫計算は、一体打ちとして計算した耐力を用いて計算する。

増設壁の耐力は一体壁の耐力より小さいので、耐力壁が終局耐力を超えた値を保持しているものとして計算される。構造計算は、応力が許容応力以下であることを確認するものであるから、この状況では、条件を変えて再計算をおこなうことが当然と思うが、下水道事業団や設計コンサルは、再計算は不要としている。

不信の念が尽きない。

『鉄筋のかぶり』とは

『鉄筋のかぶり』とは、「RC部材の面から鉄筋までの最短距離」を指す。

 

建築基準法施行令第79条に鉄筋のかぶり厚さは次のように規定されている。

鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあっては2cm以上、耐力壁、柱又は梁にあっては3cm以上、直接土に接する壁、柱、床若しくは梁又は布基礎の立上り部分にあっては4cm以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上としなければならない。

 

建築学会は、施工誤差を考慮して施行令の値に1cmを加えた値を推奨している。

 

ところで、建物の劣化診断で中性化深さの調査を依頼した時に、殆どの管理棟やポンプ棟の2、3階の柱や壁でも『鉄筋のかぶり』が60~70mmで報告されている。

しかし、施行令の値から考えて、『鉄筋のかぶり』は30~40mmで報告されることが多くなるはずで、60~70mmは『主鉄筋の位置』と混同されていることが懸念される。

㈱構造ソフトの構造計算ソフト「BUILD.3SⅡ」では、『主鉄筋の位置』を『鉄筋のかぶり』と呼んでいるし、建築一貫計算ソフトの中では、同じ数値を『主鉄筋の位置』と『鉄筋のかぶり』の2通りで呼称する「表現の揺らぎ」を持つものもあり、『鉄筋のかぶり』の意味を現地調査者が間違えている可能性が高い。

 

調査報告書に添付されている調査写真では、削孔痕を大写しにしているだけで、スケールも当てていないし、どこで撮られたかも不明のものが殆どで、写真から判別できないので、設計業者に『鉄筋のかぶり』として調査業者が、『主鉄筋の位置』と『鉄筋のかぶ

『鉄筋のかぶり』とは、「RC部材の面から鉄筋までの最短距離」を指す。

 

建築基準法施行令第79条に鉄筋のかぶり厚さは次のように規定されている。

鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあっては2cm以上、耐力壁、柱又は梁にあっては3cm以上、直接土に接する壁、柱、床若しくは梁又は布基礎の立上り部分にあっては4cm以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上としなければならない。

建築学会は、施工誤差を考慮して施行令の値に1cmを加えた値を推奨している。

 

ところで、建物の劣化診断で中性化深さの調査を依頼した時に、殆どの管理棟やポンプ棟の2、3階の柱や壁でも『鉄筋のかぶり』が60~70mmで報告されている。

しかし、施行令の値から考えて、『鉄筋のかぶり』は30~40mmで報告されることが多くなるはずで、60~70mmは『主鉄筋の位置』と混同されていることが懸念される。

㈱構造ソフトの構造計算ソフト「BUILD.3SⅡ」では、『主鉄筋の位置』を『鉄筋のかぶり』と呼んでいるし、建築一貫計算ソフトの中では、同じ数値を『主鉄筋の位置』と『鉄筋のかぶり』の2通りで呼称する「表現の揺らぎ」を持つものもあり、『鉄筋のかぶり』の意味を現地調査者が間違えている可能性が高い。

 

調査報告書に添付されている調査写真では、削孔痕を大写しにしているだけで、スケールも当てていないし、どこで撮られたかも不明のものが殆どで、写真から判別できないので、設計業者に『鉄筋のかぶり』として調査業者が、『主鉄筋の位置』と『鉄筋のかぶり』のどちらを測定したか確認するように求めたが、全ての業者に拒否された。

 

下水道の処理場や排水機場は、臨海部に設置するため、建設後20~30年程度でも、中性化深さが30~40mmを示しているが、コンサルの判断は、『鉄筋のかぶり』が60~70mmあることを前提にして、健康部分が十分あるので、対策は必要ないとしているが、『鉄筋のかぶり』が30~40mmであれば、早急に対策が必要となる。

発注者・設計業者・調査業者・施工業者が、異なる意味で同じ用語を使用する状態を憂う。

工事写真にはランドマークが必要

工事写真は、何のために撮っていると思いますか?

提出を求められているから、何となく撮っていませんか?

 

検査員は、現地で出来形と品質を直接確認できない部分について、

工事写真で確認しています。

検査員は、工事目的物が契約数量・品質を満足していることを

どうやって確認したか、第三者に合理的に説明でききなければなりません。

 

この時、提出された工事写真がどこで撮られたものか確認できないものであった時、

そんな写真で確認しました等と言うわけにはいかないので、

現地で埋戻し部分の出来形を確認するために掘ってくださいだとか、

コアを採取してくださいと求めることになります。

 

ここで、『工事写真の撮り方』に添付されているサンプル写真と同じように撮っているのに、何故いけないのかと度々苦情を言われます。

サンプル写真は、場所や施工者が特定できないように、ランドマークや個人を特定できるものをトリミングして掲載しています。

従って、サンプル写真と同じアングルで撮った場合、上記のように破壊検査が必要になります。

 

工事写真の条件としては、以下のようになります。

・ 何処で撮ったものか特定できること。現状では,マズイものを写さないことに重点を置きすぎて必要なものが写っていない。撮影場所を特定するために背景と測点・測線が必要。

・ 基本的に出来形写真は,隣の測点まで見通せる写真とする。私の勤務した自治体では、管の埋設工事では、出来形写真の場合,2枚の写真で挟まれる区間の形状・寸法及び仕上り状況を判読できる最大区間として20m,状況写真は,2枚の写真で挟まれる区間の施工状況を判読できる最大区間として50~60mを想定して、それ以下の撮影間隔になるように求めていた。。

・ 出来形写真は,スタッフの目盛を正しく読むことができるとともに,目盛の数値が正しく工事目的物の寸法を表していることが確認できるものとする。

 そのために,スタッフを添えた全体状況を確認できる写真と目盛に正対してアップを撮った写真がペアとすることが多い。

 しかし,全体写真でスタッフの0の位置が画面の外になっていたり,アップ写真で上から見下ろして撮っているため,角度がありすぎて目盛の数値が信用できないものが殆どという状況にある。

 

工事写真は、目的ごとに次の3種類に分類される。

 

状況写真:仕様書の規定を満足する施工計画に従った作業工程が遵守されていることを確認できる写真

出来形写真:設計図に示された寸法が確保されているか,仕上り状態が満足すべき状態になっているかの確認できる写真

その他の写真:法令等に従って施工されたことを証する写真

ミスのある設計で工事をした時の責任は?

公共工事で、設計にミスがあり、完成検査を受けた後に建造物に問題が発生した時の責任は誰にあるでしょうか?

設計者や発注者に責任があると思っている方もいるでしょうが、

施工者に責任がかかってきます。

工事受注者は、設計書を照査し、設計にミスが無いことを確認したうえで工事に着手しなければなりません。従って、設計内容に少しでも疑問を感じた場合は、納得のいくまで発注者に説明を求めてください。

公共工事の設計ミスで、設計業者が民事や刑事の責任を負ったことはありませんが、施工業者が業務上過失責任を追及された事例は、インターネットで検索すれば直ぐに見つかります。